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2024.07.23

国際文化会館の次なる挑戦―未来への象徴

Image: 表紙イラスト

寄付のお願い:目標50億円

国際文化会館は創立70周年を機に「アジア・太平洋地域を代表する知の交流拠点となり、グローバルでより高いインパクトを発する」というビジョンを掲げ、2022年に周年記念募金を立ち上げました。
これから100年先を見据えた基盤づくりを目指し、目標額は50億円といたしました。
皆様と社会にとって「かけがえのない場」であり続けるために、ご支援をお願いいたします。

多様な世界との知的対話、政策研究、⽂化交流を促進し、⾃由で、開かれた、持続可能な未来をつくることに貢献する

戦後まもない1952年、「日米が戦火を交えるに至ったのは互いの理解が足りなかったからだ」との反省に立ち、学術研究における国際交流の場として、民間の非営利団体「国際文化会館」は誕生しました。創設にあたっては、米国の慈善活動家ジョン・D・ロックフェラー三世をはじめとする国際文化会館の建設理念に賛同する同志たちの支援を受けています。以来、会館は各界のリーダー層や知識人らの交流の場となってきました。創設から70周年を迎えた2022年に民間独立のシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」と合併し、同志による会員組織、世界の要人を招聘できる館(やかた)に、大きな社会インパクトを出すプログラムが加わり、3つの融合体として、「アジア・太平洋地域を代表する知の交流拠点」を目指し、グローバルな発信力を高めています。

文化の継承と発展

国際文化会館の本館は、1955年に前川國男、坂倉準三、吉村順三の三氏の共同設計により建設され、これまでに2005年の耐震工事を含む改修を二度実施しました。1930年に三菱財閥4代目当主の岩崎小彌太が日本屈指の名造園家「植治」こと7代目小川治兵衛に作庭させた日本庭園と建物が融和した伝統的な佇まいが評価され、本館は2006年に文化庁に「登録有形文化財」として認められ、庭園は2005年に港区名勝に指定されています。このように文化的存在として大きな役割を果たす建物・庭園の歴史的価値を保全し、次世代へ継承してゆけるよう、次の維持管理を行うと同時に、戦略的な投資を含む長期修繕計画を立案し実行します。

①基本的構造や意匠の継承と、安全性・機能性の確保を両立した保存・管理
②建造物及び庭園等に関連した資料類の整理、保存
③歴史的文脈を受け継いだ適切な整備・保存・管理

再編計画

六本木五丁目西地区は、今まさに再開発事業が進み、今後、国際文化会館を取り巻く周辺環境は大きく変化します。数年後に、多様な機能が集約する該当地区の中で、南側の鳥居坂沿道は教育研究施設や文化施設の集まる文教エリアに編成されます。会館の本館を除く西館と別館は、敷地の大部分が市街地再開発事業に組み込まれる為、解体されることが決定しています。そこで、国際文化会館は、歴史ある地域の景観資源として、本館と庭園の維持保存に努めつつ、周辺地域の再開発工事の時期に合わせて、国際文化会館の新たな顔となる新西館の建設と本館の内装改修を行います。

これらの改修を踏まえて、再編後は会員組織としての機能やプログラム事業も、さらなる発展を目指します。

会員の皆様にとってより魅力的な施設に。
知的刺激と、世代や分野の境界を超えたコミュニティ醸成の場と機会を提供

再編計画以降は、知的対話・文化交流を促進するサロン機能が拡充されます。ライブラリーサロン、コ・ワーキングスペースを充実させ、会員同士の豊かな交流を育むとともに、働き盛りの世代も集える空間が実現します。ダイニングやバー・スペースでも会員同士の対話と文化交流が進むことでしょう。会員コミュニティも、アジア・太平洋地域を含めた多様でインクルーシブなネットワーク構築を展開し、世界の人々との知的交流という原点回帰と、ミッション実現を目指します。また、会員同士の交流の場として、時代や分野を牽引する会員の方を講師とする会員特別講演会をはじめ、プログラム部門が実施する公益事業、戦略的パートナーシップを締結している団体が会館で開催するイベントなどに、より積極的に参画いただけるよう、コンテンツの拡充および関連団体との連携強化に努めてまいります。

四分野のプログラムを展開し、アジア・太平洋地域の知の拠点を目指す

国際文化会館のプログラム事業は、①国際関係・地域研究・地政学、②社会システム・ガバナンス・イノベーション、③文明論・哲学、④アート・デザインの四分野を中心に展開しています。2022年7月に設立した地経学研究所は、国際経済と地政学の戦略が一体となる地経学の重要性を捉え、大きな反響を得ています。またシリコンバレージャパンプラットフォーム・政策起業家プラットフォーム・アジアリーダーズフェローシップは、起業家と政策コミュニティを接続する役割を強化しています。さらにアート・デザイン分野は、国際的に活躍するアーティストや建築家を招聘し、芸術交流を推進しているほか、アーティストと実業家のクロストークなど、アートを通じた関係価値を創出することを目指します。今後は国際連携をさらに充実化させ「アジア・太平洋地域の知の拠点」を目指します。


70年にわたり受け継がれてきた歴史を尊重しつつ、歴史と未来が融合した、 これからの100年を見越した新しい国際文化会館を皆様とともにつくり上げます。

「アジア・太平洋地域を代表する知の交流拠点」となるに相応しい将来像として、既存の本館と旧岩崎邸庭園のもつ自然と建築の関係を継承し、新たに建設する新西館を含め、これらが融合し一体となった姿が新しい国際文化会館の象徴となるべく、3つのコンセプトを打ち出しました。

1. 自然と建築の融合

旧岩崎邸庭園がもつ豊かな自然の風景と回遊性、本館がもつ庭園との調和や開放性を継承し、国際文化会館の新たな象徴としての自然と建築の融合を目指します。

Image: イラスト

2. 歴史の継承と新しい風景

日本のモダニズム建築の傑作である本館と港区指定の名勝である旧岩崎邸庭園の意匠を継承し、これらと新西館とが調和し一体となった新しい国際文化会館の風景をつくります。

3. 知的対話・文化交流を生み出す空間

庭と内部空間の多様な回遊性によって自然と建築が混ざり合う空間構成により、人々との出会い・対話・交流が広がっていく知の交流拠点を創出します。

これら3つのコンセプトをひとつの建築として具現化します。
世界各国から集う人々が、自然とつながる快適な空間で対話し、お互いを理解して尊重し合い、そこに生まれる多様な知的交流のかたちが「未来への象徴」となる、新しい国際文化会館をつくります。


設計デザイン

妹島 和世

1956年生まれ。1981年日本女子大学大学院修了。1987年妹島和世建築設計事務所設立。1995年西沢立衛とSANAA設立。現在、ミラノ工科大学教授、日本女子大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、横浜国立大学名誉教授、東京都庭園美術館長。主な妹島和世建築設計事務所の作品に再春館製薬所女子寮、梅林の家、犬島「家プロジェクト」、すみだ北斎美術館、日本女子大学目白キャンパスがある。

西沢 立衛

1966年生まれ。1990年横浜国立大学大学院修了。妹島和世建築設計事務所を経て1995年妹島和世とSANAA設立。1997年西沢立衛建築設計事務所設立。現在、横浜国立大学大学院Y-GSA教授。主な西沢立衛建築設計事務所の作品に森山邸、House A、十和田市現代美術館、豊島美術館、軽井沢千住博美術館がある。

SANAA

2004年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 金獅子賞、2010年プリツカー建築賞、2022年高松宮殿下記念世界文化賞建築部門など数多くの賞を受賞。主な作品に、金沢21世紀美術館、ニューミュージアム(アメリカ)、Rolexラーニングセンター(スイス)、ルーヴル・ランス(フランス)、グレイス・ファームズ(アメリカ)、荘銀タクト鶴岡、日立市新庁舎、ボッコーニ大学新キャンパス(イタリア)、ラ・サマリテーヌ(フランス)、シドニー・モダン・プロジェクト(オーストラリア)など。

国際文化会館 寄付担当
Tel:03-3470-9806(平日午前9時~午後5時)
E-mail: okimochi@i-house.or.jp

国際文化会館

アジア・パシフィック・イニシアティブ