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-Geoeconomics地政学・国際関係・地域研究
2023.09.18
科学技術を通じた「メタ・パワー」獲得目指す中国(土屋貴裕・地経学ブリーフィング)
【連載第4回:技術と国際政治】1.「科学技術強国」を目指す中国と技術覇権をめぐる米中対立 グローバリゼーションがもたらした国家間の力関係の推移や不均衡は、新たな技術の獲得とそのイノベーションをめぐる新たな国際的な覇権争いを生み出しつつある。それは、国家主導で情報のみならず、情報を基盤とする新興技術を保護し、規制・罰則を強化する動きへと結びついている。とりわけ情報や技術の獲得競争は、ポスト冷戦期における現状維持勢力(Status Quo Power)のアメリカと、現状変更勢力(Revisionist Power)の中国との技術覇権(テクノ・ヘゲモニー)をめぐる新たな大国間競争という、アメリカの国際政治学者A・ F・ K・オルガンスキーが提唱した覇権移行論(Power Transition Theory)が当てはまる形で表出している。 アメリカは、トランプ政権以降、ファーウェイやZTEをはじめとする中国のテクノロジー企業への規制を強めている。中国を取り巻く国際環境が複雑化し厳しさを増す中で、近年の中国のデジタル経済の促進や海外からの技術獲得、軍民融合による発展戦略、国際標準化に向けた中長期的な取り組みは、大きな困難に直面している。