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-Geoeconomics地政学・国際関係・地域研究
2023.04.25
ロシアによる核恫喝を拒否するために必要なこと(地経学ブリーフィング)
【特集・G7サミットでのウクライナ支援(第7回)】ウクライナ戦争が国際秩序に与える影響は多岐にわたるが、今後最も懸念すべき論点の一つは、ロシアがいずれかの段階で核兵器を使用するリスクであろう。核保有国ロシアが非核国ウクライナを侵略したうえに、公然と核恫喝をしているという現状は、核不拡散体制に深刻な影響を及ぼしている。これまで、米露英仏中の5大国は、非核国が核保有国と協力して自国への侵略を行う場合を例外として、核兵器不拡散条約(NPT)を締結している非核国に対しては核を使用しないとする「消極的安全保証」に関する一方的宣言を行ってきている(うち中国の宣言は例外への言及なし)。これらの宣言は、法的拘束力を有していないが、核保有国と非核国の地位を固定するというNPTが有する不平等性を和らげる意図表明である。ロシアによるウクライナに対する核使用の威嚇には、NPT体制を支えているこの自制の信頼性を低下させる重大な意味がある。本稿では、これまでの核抑止論が必ずしも前提としてこなかった核保有国による非核国への核使用という危険に焦点を当てる。これを論じることは、非核国日本の安全保障を考えるうえでも、とりわけ不可欠な視点となるためだ。