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-Geoeconomics地政学・国際関係・地域研究
2023.04.19
動揺する国際安全保障秩序の再建に必要なこと(地経学ブリーフィング)
特集・G7サミットでのウクライナ支援(第6回)】ロシアによるウクライナ侵略という激震によって、既存の国際安全保障秩序は大きく動揺している。中国の習近平主席のモスクワ訪問と岸田文雄首相のキーウ訪問が重なり、同日(3月21日)に行われた2つの首脳会談は、「中ロを軸とする権威主義体制の連合」と「ウクライナを支援する西側民主主義国の連合」に世界が二分化するイメージを鮮明にした。世界がこのように二分するかどうかは流動的だが、フィンランドのNATO(北大西洋条約機構)加盟をトルコが批准し確定する一方で、中ロ首脳会談を受けた中国国防省は「お互いの軍事的な信頼をさらに深める」と強調した。国連安保理は、常任理事国たるロシアが侵略当事者となったことで、国際安全保障秩序の守護者としての正統性を大きく損なった。アンカーを失い動揺する中、ウクライナ戦争後の世界は安全保障秩序を形成する最も明確な国家関係である軍事同盟を中心に再編されようとしている。中ロの力による現状変更に対抗するためには、アメリカが主導する軍事同盟の信頼回復と拡張強化を図り、国際秩序の支柱とする必要がある。