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-Geoeconomics地政学・国際関係・地域研究
2025.07.23
トランプ2.0政権の戦力態勢見直し -「力による平和」を実現できるか-(地経学ブリーフィング)
「国防総省全体の仕事は、軍隊を強力に保ち、選択肢を作り出すことだ」。これは、本年5月25日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)での米国のピート・ヘグセス国防長官の発言である。ヘグセス国防長官は、エルブリッジ・コルビー国防次官に対し、8月31日までに「2025年国家防衛戦略」草案の提出を求めており、世界中が米軍の戦力態勢見直しがどうなるのかに注目していた。戦力態勢見直しとは、米軍の戦力構成や世界規模で展開している米軍の配備を見直すものである。約130万人の兵力のうち、欧州に6.7万人、インド太平洋地域に12.8万人が前方展開しており、これらの配置に対する見直しが焦点の1つになっている。しかし、今回のヘグセス長官の発言は、国防総省の検討の方向性を示したものであり、まだトランプ大統領の承認が得られたものでないことが却って浮き彫りとなった。