


受賞作品以下敬称略
第2回 国際文化会館ジャーナリズム大賞
データ・調査報道シリーズ「ニッポン華僑100万人時代」
日本経済新聞社
取材班代表 中村 裕(編集 データ・調査報道センター 副グループ長)
浅沼直樹(データ・調査報道センター)
岩崎邦宏(データ・調査報道センター)
綱嶋亨(データ・調査報道センター)
清水慶正(電子版編集センター写真映像グループ)
上間孝司(電子版編集センター写真映像グループ)
釜江紗英(電子版編集センター写真映像グループ)
井上容(大阪・編集ユニット ビジュアル報道グループ)
受賞にあたってのコメント
欧米各国では今、移民排斥の動きや極右政党が台頭し、移民政策が重い政治課題となっています。年間30万人超の在留外国人を受け入れるようになった日本にとっても、もはや「対岸の火事」では無くなりました。在留中国人は2026年には大台の100万人の突破が見込まれ、既に日本社会への浸透が見られます。日本は今後、本格的に迎える新たな共生社会とどう向き合えばいいのか。今回の報道が議論のきっかけとなることを期待しております。
「台湾上陸1週間以内 日本政府分析」を初報とする日本周辺での中国軍の活動などに関する一連の報道
読売新聞東京本社
読売新聞政治部安保取材班 代表:栗山紘尚
小川聡(政治部長、現グループ本社社長室次長)
黒見周平(政治部次長、現編集局管理部長)
仲川高志(政治部次長、現ソウル支局長)
大木聖馬(政治部次長)
石川有希子(政治部次長、現YD Pro営業支援部次長)
谷川広二郎(政治部主任)
前田毅郎(政治部主任)
大藪剛史(政治部主任)
田村直広(政治部記者)
船越翔(科学部兼データ報道ユニット記者、現ジュネーブ支局長)
受賞にあたってのコメント
一連の取材から、中国が台湾侵攻に向け予想以上に具体的な演習を進めていることが明らかになりました。 演習の範囲は日本にも及び、「台湾有事は日本有事」という指摘が絵空事ではない実態が浮かび上がりました。日本政府も対抗措置として自衛隊創設以来初めて、海上自衛隊護衛艦の台湾海峡通過を決断するなど、日中の軍事的な緊張がこれまでになく高まっていることをひしひしと感じています。引き続き実態に迫る取材を重ねます。
検証企画「なぜ死刑囚にされたのか 袴田さん事件の58年」(紙面版は全9回、WEB版は全14回)など袴田巌さん再審をめぐる一連の報道
朝日新聞東京本社
袴田巌さん冤罪事件取材班代表:田中恭太(朝日新聞東京社会部記者(取材当時)) 取材班メンバーは次の通り 【コンテンツの編集・監修】板橋洋佳、岡本玄、木村司 【取材記者】田中恭太、森下裕介、黒田早織、平川仁、増山祐史、本間久志、堀之内健史、高橋俊成、奈良美里、田渕紫織、遠藤隆史、米田優人、金子和史、植松敬、横山輝、藤牧幸一、野間あり葉、久保田一道、山本逸生、大滝哲彰、戸田和敬、上月英興、阿部峻介、千葉雄高、小松隆次郎 【WEB編集】澤田紫門、藤井宏太、森本浩一郎、岩見梨絵、佐久間盛大、南日慶子、小林孝也、渡辺秀行、時津剛 【英訳】高野弦、圓山真弓
選出にあたってのコメント
袴田巌さんは58年にわたり、自由や権利、人生を奪われました。無罪となった2024年は、事件を知る世代、知らない世代が混在します。このため、特に若年層に事件を分かりやすく伝え、後世へと残す決意で、20~30代記者を中心にチームを作り議論を重ねました。そして、自白偏重の捜査や再審制度など、今なお続いている冤罪の要因を分析しながらストーリー仕立てでコンテンツを発信しました。その試みを評価いただき感謝いたします。
連載「ルポ男児の性被害」全8回+番外編1回
秋山千佳 (フリーランス記者)
選出にあたってのコメント
当連載を元に加筆、告発の後日談の書き下ろしを加えた書籍『沈黙を破る 「男子の性被害」の告発者たち』(文藝春秋)が7月11日に発売になります。動きのあった連載時以上に、実名告発やインターネット報道の意義を示すことができたと思います。性暴力や二次被害を防ぐには、性暴力の実相を知ることが不可欠です。本書がその一助となり、告発者たちを苦しめている日本の時効の見直しについても議論が進むようにと願っています。
オピニオン部門賞
アメリカという永遠の難問...「マグマのような被害者意識」を持つアメリカと、どう関係構築すべきか
三牧聖子 (同志社大学大学院 グローバル・スタディーズ研究科 教授)
受賞にあたってのコメント
「戦争を終わらせ、平和の大統領になる」-大統領選でそう訴え、対外介入に疲弊した米国民の心を捉えて勝利したドナルド・トランプは、6月下旬、イランの核施設を攻撃し、世界は混迷に包まれています。この困難な時代に、日本と世界の関わりについて論じた論説に贈られるオピニオン部門賞に選出していただきましたこと、心から光栄に思います。本論説が考察した『アステイオン』草創期の珠玉のアメリカ論は、変貌するアメリカや世界を理解するための最善の羅針盤となるはずです。
特別賞
Tansa×NHK共同取材「子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇」に関する一連の報道
Tansa×NHK共同取材班
受賞にあたってのコメント
Webサイト「性暴力を考える」などで実態を報道し続けてきたNHKと、シリーズ「誰が私を拡散したのか」でデジタル性暴力を追及してきたTansaが共同取材を実施。子どもを狙った卑劣な性暴力と、ビジネス化する加害の実態に迫りました。様々な不正や暴力、国境を超えた犯罪行為に対抗するため、ジャーナリスト同士が手をとる重要性は増しています。受賞を機に、読者や視聴者、ジャーナリストの方々に連携の意義が伝われば嬉しく思います。
羽田空港事故に関する一連の報道
赤石晋一郎 (フリーランス記者)
選出にあたってのコメント
東京の国際的な玄関口である羽田空港が、事故が起これば命が助かるかどうかは"運しだい"という意味の“サバイバルエアポート”と呼ばれているーー。取材のなかで聞いた一言は衝撃的でした。取材にご協力頂いた空港・医療関係者、HEM-Net及び同理事である伊藤隼也氏、多くの方の思いが詰まった記事です。第一報を書かせて頂いた週刊文春編集部、続報を寄稿させて頂いたダイヤモンドオンライン編集部にも改めて感謝申し上げます。
第1回 国際文化会館ジャーナリズム大賞

「中国に狙われた工作機械 核開発のサプライチェーンに抜け穴」を初報とする一連の報道
日本経済新聞社
代表:阿部哲也(米州編集総局部次長)
綱嶋亨(ビジネス報道ユニット、現社会・調査報道ユニット記者)
黄田和宏(データビジュアルセンター、現社会・調査報道ユニット部次長)
受賞にあたってのコメント
世界秩序はグローバルサウスの台頭など、米中の覇権争いにとどまらない新たなフェーズに入っています。さらに生成AIをはじめとするテクノロジーの進化は、新たな可能性だけでなく巨大テック企業と各国政府のあつれきを生んでいます。日本が世界とどうかかわり、様々な課題をどう乗り越えるべきか、報道の役割はますます大きくなっています。取材やデータを通じ、海外にもインパクトを与えられる調査報道をこれからも目指します。

“冤(えん)罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜
NHK「冤罪の深層」取材班
代表:石原大史(NHK第2制作センター エキスパート)
矢内智大(NHK報道番組センター 社会番組部ディレクター)
影山遥平(NHK報道局社会部記者)
牧野大輝(NHK報道局社会部記者)
小郷恵子(NHK報道番組センター
社会番組部アシスタント・プロデューサー)
受賞にあたってのコメント
当記事は、冤罪という巨大な暴力に屈せず真相解明を訴える大川原化工機の皆様、そして巨大組織の軋轢の中でも真実を諦めなかった告発者の皆様、両者の勇気によるものです。見えてきたのは、組織内評価に飢え強引な捜査を主導した警視庁公安部幹部らの姿、そして、それらが経済安全保障という大義名分の下、歯止めが働かないまま正当化されていった姿でした。受賞をきっかけに事件に更に多くの関心が集まることを期待しております。
第290号「民主主義のつくりかた(後編)」女性が増えれば変わる
所属:朝日新聞GLOBE編集部
著者:秋山訓子
核カオスの深淵/侵略の代償①〜⑰、秩序崩壊の岐路①〜⑥
所属:共同通信社編集委員(論説委員兼務)
著者:太田昌克
「ウクライナ侵略2年」
所属:読売新聞東京本社 編集局国際部・ローマ特派員
著者:倉茂由美子
プレミアムA「満州 アヘンでできた“理想郷”」
所属:朝日新聞社
著者:取材:永井靖二、丘文奈、柳川迅
WEBディレクター:森本浩⼀郎、橋本佳奈
デザイン・制作:小倉誼之、佐久間盛大、原有希
オピニオン部門賞

私たちのことを私たち自身が議論できる社会をつくるために[立候補年齢の引き下げを求めて提訴した若者たちと弁護団のストーリー]
認定NPO法人CALL4
(ストーリー制作チーム)
取材・文:原口侑子
撮影:雨森希紀
編集:丸山央里絵
受賞にあたってのコメント
「立候補年齢引き下げ」というテーマは、制限を受ける若者だけの問題ではなく、この社会の意思決定の場のあり方を問うものです。誰もが当事者であり、ムーブメントを一部のユースに留まらない社会的広がりのあるものにしたいと考え、原稿はもちろん写真やデザインにも気を配って制作しました。記事末には裁判への支援を提示して個人の行動を促したことで、本格的なムーブメントの始まりの一端を担えたのではないかと考えています。
映画『スラムダンク』が中国人を感動させている本当の理由
所属:中国現代文学・文化研究者
著者:楊駿驍
特別賞

日本のレイシャル・プロファイリング
ハフポスト日本版
國﨑万智
受賞にあたってのコメント
「君みたいな系統でそういう髪型の人は、薬物を持ってることが多いから」。ナイジェリアと日本にルーツをもつ中尾英鈴さんは、警察官からこうした言葉をかけられ、何度も職務質問を受けてきた。中尾さんだけではない。肌の色や「人種」を理由に、警察から日々犯罪関与を疑われ不当な扱いを受ける人たちがいる。公権力による人権侵害を見過ごさず、私は取材を続ける。取材に証言してくださった全ての方に、心より感謝申し上げたい。
【米ストックフォト大手による福島差別につながる画像問題について】
所属:ハフポスト日本版・ニュースエディター
著者:相本啓太
【スクープ】無呼吸症の医療器具で「健康被害のおそれ」、いまだ回収中で被害報告も(全5回)
所属:フリーランス記者
著者:萩 ⼀晶(はぎ・かずあき)