公益財団法人国際文化会館は、
優れた報道を顕彰する
「国際文化会館ジャーナリズム大賞」を
創設します。
本賞は、綿密な取材やデータを元に調査を行い、
日本と多様な世界との関わりの中で生じ
る新たな可能性と課題に光を当てた報道を
表彰いたします。
また、相互理解と共存・共生のあり方について
感動と洞察を与える報道を顕彰し、
日本におけるジャーナリズムの
さらなる発展を目指します。
優れた報道を顕彰する
「国際文化会館ジャーナリズム大賞」を
創設します。
本賞は、綿密な取材やデータを元に調査を行い、
日本と多様な世界との関わりの中で生じ
る新たな可能性と課題に光を当てた報道を
表彰いたします。
また、相互理解と共存・共生のあり方について
感動と洞察を与える報道を顕彰し、
日本におけるジャーナリズムの
さらなる発展を目指します。
選考委員長挨拶
林香里
東京大学大学院情報学環教授
東京大学理事・副学長
東京大学理事・副学長
国際文化会館ジャーナリズム大賞について
このたび、PEP ジャーナリズム大賞は、「国際文化会館ジャーナリズム大賞」として新たなスタートを切ります。私たちはこの間、ジャーナリズムについて一層危機感を募らせてまいりました。ネット空間では、メディアが政治色によって分断され、さらにボーダーレスにフェイクニュースや不寛容に満ちた言論が広がり、その弊害は一国の統治にまで及ぶほど深刻になっています。また、AI など新たなテクノロジーの行方も見逃せません。したがって、PEP ジャーナリズム大賞を主宰したアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が公益財団法人国際文化会館と合併したことを機に、世界と日本が深く交わり、価値が多様化する世界において、これまで以上に「多様にして包容力と活力のある自由主義と民主主義を育てるジャーナリズム」を力づけたいと考え、一層訴求力のある賞へと衣替えすることにいたしました。
ここまでの PEP ジャーナリズム大賞受賞作は、昨年度は世界中で問題となっている環境汚染物質 PFAS についての調査報道、一昨年度はコロナ禍での自粛と正義のあり方についての問題提起でした。これらはいずれもグローバルな枠組みで問われてきた課題です。今後もこうした作品に代表されるような、世界と日本の関わりに焦点を当てた、日本発のスケールの大きなジャーナリズム作品を力づける賞にしてまいります。引き続きご支援ください。
このたび、PEP ジャーナリズム大賞は、「国際文化会館ジャーナリズム大賞」として新たなスタートを切ります。私たちはこの間、ジャーナリズムについて一層危機感を募らせてまいりました。ネット空間では、メディアが政治色によって分断され、さらにボーダーレスにフェイクニュースや不寛容に満ちた言論が広がり、その弊害は一国の統治にまで及ぶほど深刻になっています。また、AI など新たなテクノロジーの行方も見逃せません。したがって、PEP ジャーナリズム大賞を主宰したアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)が公益財団法人国際文化会館と合併したことを機に、世界と日本が深く交わり、価値が多様化する世界において、これまで以上に「多様にして包容力と活力のある自由主義と民主主義を育てるジャーナリズム」を力づけたいと考え、一層訴求力のある賞へと衣替えすることにいたしました。
ここまでの PEP ジャーナリズム大賞受賞作は、昨年度は世界中で問題となっている環境汚染物質 PFAS についての調査報道、一昨年度はコロナ禍での自粛と正義のあり方についての問題提起でした。これらはいずれもグローバルな枠組みで問われてきた課題です。今後もこうした作品に代表されるような、世界と日本の関わりに焦点を当てた、日本発のスケールの大きなジャーナリズム作品を力づける賞にしてまいります。引き続きご支援ください。
主催者挨拶
船橋洋一
公益財団法人国際文化会館
グローバル・カウンシル チェアマン
グローバル・カウンシル チェアマン
中東やウクライナでの戦争の勃発、パンデミックの拡大、気候変動など、世界は大きく、かつ複雑な変化に直面しています。このような時代において、真実を検証し、多様な視点を市民に与えるジャーナリズムの役割が極めて重要になっています。
公益財団法人 国際文化会館は、グローバルな「知の拠点」となることを目指し、2022 年7 月にアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)と合併致しました。「国際文化会館ジャーナリズム大賞」は、合併を象徴する事業として、多様な世界との対話に不可欠であるジャーナリズムの醸成を目指し、グローバルに活躍する可能性を持つジャーナリストの皆様を応援してまいる所存です。また、この場をお借りして、本賞をご支援くださっているスポンサーの皆様に感謝を申し上げます。
公益財団法人 国際文化会館は、グローバルな「知の拠点」となることを目指し、2022 年7 月にアジア・パシフィック・イニシアティブ(API)と合併致しました。「国際文化会館ジャーナリズム大賞」は、合併を象徴する事業として、多様な世界との対話に不可欠であるジャーナリズムの醸成を目指し、グローバルに活躍する可能性を持つジャーナリストの皆様を応援してまいる所存です。また、この場をお借りして、本賞をご支援くださっているスポンサーの皆様に感謝を申し上げます。
応募概要
- 以下の3部門について、
部門ごとに候補記事を募集します。 - 何れもテーマは
「日本と世界の関わり」です。
大賞(賞金 150 万円)
「日本と世界の関わり」という観点から、日本の現代政治・経済・社会等の重要課題について、
優れた検証、調査をした報道。また、世界の中における日本の課題や挑戦に光を当て、
感動と勇気を与えた報道と作品。
感動と勇気を与えた報道と作品。
-
オピニオン部門賞(賞金 50 万円)日本と世界の関わりについて冷静かつ広い視野で分析し、洞察に富んだ論考、論説、コラム。
-
特別賞(賞金 30 万円)フリーランスや小規模メディアの
記者等による優れた報道。
全体講評
第一回 国際文化会館ジャーナリズム大賞 講評
選考委員長 林香里(東京大学大学院情報学環教授、東京大学理事・副学長)
「国際文化会館ジャーナリズム大賞」は、「日本と世界のかかわり」をメインテーマとして、綿密な取材やデータを元に調査を行い、グローバル時代の新たな可能性と課題に光を当てた報道を表彰いたします。
今年度は、64通の応募数があり、いずれも力作揃いでした。応募くださった皆様に心より御礼申し上げます。
2024年6月12日(水曜日)に選考委員が国際文化会館にて対面にて最終審査を行い(筒井氏のみ米国からオンライン参加)、慎重な審議の上、下記のとおり入賞者が選出されました。入賞のみなさま、おめでとうございます。
今回の大賞は先端科学技術の輸出管理の問題を、異なる側面から取り上げています。
まず、日本経済新聞の一連の特集記事は、日本の高性能工作機械技術が中国の核開発機関に流入していたことを突き止めたものです。これに対して、NHK「冤罪の深層」取材班の報道は、大川原化工機という中小企業で起こった冤罪事件の検証です。警察庁公安部のずさんな「見込み捜査」のために、同社社長ら幹部が軍事転用可能な機会を中国に不正輸出したとして逮捕、1年近く拘留された事件を扱っています。 選考委員会は、世界で展開される先端技術競争によって私たちの日常生活がいかに脅かされているかを詳細なエビデンスとともに、まったく異なる観点から描いたこの二つの記事をセットで表彰することにしました。それよって、グローバルな先端技術をめぐる米中の覇権争い、および各国の経済安全保障問題を私たちの生活へとつなげ、影響の深刻さを今一度社会全体で共有したいと考えました。いずれも丁寧な取材をもとにした完成度の高い記事で、まさに国際文化会館ジャーナリズム大賞にふさわしい作品と判断しました。
特別賞には、ハフィントンポストに掲載された「日本のレイシャル・プロファイリング」を選びました。この記事では、日本では今日も人種や外見から「テロリスト」や「不審者」と決めつけるレイシャル・プロファイリングという行為が人権侵害であるという意識が高まっていないこと、とりわけ公権力である警察においてそれが深刻な様子が描かれています。一連の作品は、肌の色が異なるだけで繰り返し高圧的で失礼な人種差別的職務質問をされたなどの当事者たちの訴えとともに、第三者がそうした行為を見かけたときの対応や、米国では人種差別を防ぐための警察用ガイドラインの存在や教育など、具体的な提案も盛り込まれた包括的な特集となっています。選考委員会では、こうした記事とともに、レイシャル・プロファイリング行為が深刻な人権侵害だということが広く共有され、グローバル化する日本社会全体の人権意識が高まることを願っています。
オピニオン部門賞には、CALL4の「私たちのことを私たち自身が議論できる社会をつくるために[立候補年齢の引き下げを求めて提訴した若者たちと弁護団のストーリー]」を、公正な未来社会への提言としてふさわしい作品であるとして選びました。被選挙権年齢引き下げを求める裁判を報じるこの記事は、政治が高齢の男性によって支配されている日本社会に一石を投じるものです。写真やウェブページのデザインも素敵で、自ら意見を述べ、積極的に政治参加をすることがスマートな行為だというイメージも希望をもたせてくれます。また、このサイトには、記事の最後に、取り上げた裁判に寄付をできる仕組みを設けることによって、読者が社会のムーブメントを応援できるような仕組みがあります。読者が他人の意見を「読む」だけでなく、共感する者たちが「行動する」ことへといざない、政治変革につなげようとするこの仕掛けは、ジャーナリズムが民主主義の原点にあるということを確認させるもので、斬新です。以上の理由で、選考委員全員がこの記事をオピニオン部門の表彰にふさわしいという意見で一致しました。デジタル化時代、若者たちのグローバルな活躍も予感させます。
--- 以上、第一回の国際文化会館ジャーナリズム大賞では、伝統的な新聞メディア、テレビとともに、ネットメディアや新たな意見プラットフォームなど多様な媒体の作品を表彰することができました。
デジタル化とグローバル化が進行することによって、地球全体の地政学的境界線があいまいになり、「権力」という概念も、国家や政府を指していた時代とは異なり、一層多元化が進んでいます。またデジタル技術の発達で、読者との関係も変化しています。こうした時代には、取材の仕方や報道機関の役割も再考すべき時が来ています。
しかしながら、良きジャーナリズムは、私たち一人ひとりが生活するコミュニティを、出自、ジェンダー、人種などに関わらず誰にとっても安心して暮らしやすいものにし、多様な人々を包摂していく、民主主義のための原動力であることに変わりはありません。ともすると多層化し分散する社会において、事実を発掘する丁寧な調査、共感を生み出すビジュアルや文体など、読者の心をつかむジャーナリズムの役割はますます重要となっています。
国際文化会館は、今回賞を授けた作品をはじめ、さまざまな媒体から個性豊かに発信される良質なジャーナリズムを追求する、勇気ある記者たちを応援していきたいと思います。
今年度は、64通の応募数があり、いずれも力作揃いでした。応募くださった皆様に心より御礼申し上げます。
2024年6月12日(水曜日)に選考委員が国際文化会館にて対面にて最終審査を行い(筒井氏のみ米国からオンライン参加)、慎重な審議の上、下記のとおり入賞者が選出されました。入賞のみなさま、おめでとうございます。
今回の大賞は先端科学技術の輸出管理の問題を、異なる側面から取り上げています。
まず、日本経済新聞の一連の特集記事は、日本の高性能工作機械技術が中国の核開発機関に流入していたことを突き止めたものです。これに対して、NHK「冤罪の深層」取材班の報道は、大川原化工機という中小企業で起こった冤罪事件の検証です。警察庁公安部のずさんな「見込み捜査」のために、同社社長ら幹部が軍事転用可能な機会を中国に不正輸出したとして逮捕、1年近く拘留された事件を扱っています。 選考委員会は、世界で展開される先端技術競争によって私たちの日常生活がいかに脅かされているかを詳細なエビデンスとともに、まったく異なる観点から描いたこの二つの記事をセットで表彰することにしました。それよって、グローバルな先端技術をめぐる米中の覇権争い、および各国の経済安全保障問題を私たちの生活へとつなげ、影響の深刻さを今一度社会全体で共有したいと考えました。いずれも丁寧な取材をもとにした完成度の高い記事で、まさに国際文化会館ジャーナリズム大賞にふさわしい作品と判断しました。
特別賞には、ハフィントンポストに掲載された「日本のレイシャル・プロファイリング」を選びました。この記事では、日本では今日も人種や外見から「テロリスト」や「不審者」と決めつけるレイシャル・プロファイリングという行為が人権侵害であるという意識が高まっていないこと、とりわけ公権力である警察においてそれが深刻な様子が描かれています。一連の作品は、肌の色が異なるだけで繰り返し高圧的で失礼な人種差別的職務質問をされたなどの当事者たちの訴えとともに、第三者がそうした行為を見かけたときの対応や、米国では人種差別を防ぐための警察用ガイドラインの存在や教育など、具体的な提案も盛り込まれた包括的な特集となっています。選考委員会では、こうした記事とともに、レイシャル・プロファイリング行為が深刻な人権侵害だということが広く共有され、グローバル化する日本社会全体の人権意識が高まることを願っています。
オピニオン部門賞には、CALL4の「私たちのことを私たち自身が議論できる社会をつくるために[立候補年齢の引き下げを求めて提訴した若者たちと弁護団のストーリー]」を、公正な未来社会への提言としてふさわしい作品であるとして選びました。被選挙権年齢引き下げを求める裁判を報じるこの記事は、政治が高齢の男性によって支配されている日本社会に一石を投じるものです。写真やウェブページのデザインも素敵で、自ら意見を述べ、積極的に政治参加をすることがスマートな行為だというイメージも希望をもたせてくれます。また、このサイトには、記事の最後に、取り上げた裁判に寄付をできる仕組みを設けることによって、読者が社会のムーブメントを応援できるような仕組みがあります。読者が他人の意見を「読む」だけでなく、共感する者たちが「行動する」ことへといざない、政治変革につなげようとするこの仕掛けは、ジャーナリズムが民主主義の原点にあるということを確認させるもので、斬新です。以上の理由で、選考委員全員がこの記事をオピニオン部門の表彰にふさわしいという意見で一致しました。デジタル化時代、若者たちのグローバルな活躍も予感させます。
--- 以上、第一回の国際文化会館ジャーナリズム大賞では、伝統的な新聞メディア、テレビとともに、ネットメディアや新たな意見プラットフォームなど多様な媒体の作品を表彰することができました。
デジタル化とグローバル化が進行することによって、地球全体の地政学的境界線があいまいになり、「権力」という概念も、国家や政府を指していた時代とは異なり、一層多元化が進んでいます。またデジタル技術の発達で、読者との関係も変化しています。こうした時代には、取材の仕方や報道機関の役割も再考すべき時が来ています。
しかしながら、良きジャーナリズムは、私たち一人ひとりが生活するコミュニティを、出自、ジェンダー、人種などに関わらず誰にとっても安心して暮らしやすいものにし、多様な人々を包摂していく、民主主義のための原動力であることに変わりはありません。ともすると多層化し分散する社会において、事実を発掘する丁寧な調査、共感を生み出すビジュアルや文体など、読者の心をつかむジャーナリズムの役割はますます重要となっています。
国際文化会館は、今回賞を授けた作品をはじめ、さまざまな媒体から個性豊かに発信される良質なジャーナリズムを追求する、勇気ある記者たちを応援していきたいと思います。
「日本と世界の関わり」という観点から、日本の現代政治・経済・社会等の重要課題について、優れた検証、調査をした報道。
受賞
「中国に狙われた工作機械 核開発のサプライチェーンに抜け穴」を初報とする一連の報道
日本経済新聞社
代表:阿部哲也(米州編集総局部次長)
綱嶋亨(ビジネス報道ユニット、現社会・調査報道ユニット記者)
黄田和宏(データビジュアルセンター、現社会・調査報道ユニット部次長)
綱嶋亨(ビジネス報道ユニット、現社会・調査報道ユニット記者)
黄田和宏(データビジュアルセンター、現社会・調査報道ユニット部次長)
受賞にあたってのコメント
世界秩序はグローバルサウスの台頭など、米中の覇権争いにとどまらない新たなフェーズに入っています。さらに生成AIをはじめとするテクノロジーの進化は、新たな可能性だけでなく巨大テック企業と各国政府のあつれきを生んでいます。日本が世界とどうかかわり、様々な課題をどう乗り越えるべきか、報道の役割はますます大きくなっています。取材やデータを通じ、海外にもインパクトを与えられる調査報道をこれからも目指します。
受賞
“冤(えん)罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜
NHK「冤罪の深層」
取材班
取材班
代表:石原大史(NHK第2制作センター エキスパート)
矢内智大(NHK報道番組センター 社会番組部ディレクター)
影山遥平(NHK報道局社会部記者)
牧野大輝(NHK報道局社会部記者)
小郷恵子(NHK報道番組センター 社会番組部アシスタント・プロデューサー)
矢内智大(NHK報道番組センター 社会番組部ディレクター)
影山遥平(NHK報道局社会部記者)
牧野大輝(NHK報道局社会部記者)
小郷恵子(NHK報道番組センター 社会番組部アシスタント・プロデューサー)
受賞にあたってのコメント
当記事は、冤罪という巨大な暴力に屈せず真相解明を訴える大川原化工機の皆様、そして巨大組織の軋轢の中でも真実を諦めなかった告発者の皆様、両者の勇気によるものです。見えてきたのは、組織内評価に飢え強引な捜査を主導した警視庁公安部幹部らの姿、そして、それらが経済安全保障という大義名分の下、歯止めが働かないまま正当化されていった姿でした。受賞をきっかけに事件に更に多くの関心が集まることを期待しております。
ファイナリスト
第290号「民主主義のつくりかた(後編)」女性が増えれば変わる
朝日新聞GLOBE編集部
秋山訓子
ファイナリスト選出にあたってのコメント
政治の世界に女性が増えない日本にあって、海外の国々がどのようにして女性を増やしてきたのかを今、報じることは非常に大切で意義があると考え、このような企画を立てました。困難を極めた取材もありましたが、成就させることができました。マスメディアの体力が落ちているなか、グローバルに各国を取材して伝えることができたのは奇跡的なことでした。ですので、ファイナリストにご選出いただき本当にありがたく思っています。
ファイナリスト
核カオスの深淵/侵略の代償①~⑰、秩序崩壊の岐路①~⑥
共同通信社編集委員(論説委員兼務)
太田昌克
ファイナリスト選出にあたってのコメント
人類が核と向き合い始めてやがて80年を迎えます。ロシアのウクライナ侵攻、深刻化する米中対立、北朝鮮の核ミサイル開発・・・。核を巡る国際秩序はカオスの様相を呈しています。そんな混沌とした核時代の断面を現在、過去、未来の視座から直視したいと思い、本連載を2年前に始めました。この度ファイナリストに選ばれたこと、核をテーマに取材・執筆を続けてきた私にとりまして、とても名誉なことです。ありがとうございます。
ファイナリスト
「ウクライナ侵略2年」
読売新聞東京本社 編集局国際部・ローマ特派員
倉茂由美子
ファイナリスト選出にあたってのコメント
侵略から2年を迎えたウクライナは、重苦しい雰囲気に包まれていた。多くの人が理不尽な戦争により大切な誰かを亡くし、心身に深い傷を負い、故郷を追われた。凄惨な経験を、声を震わせて懸命に語ってくれた人もいた。託されたその思いと証言を十分に伝えられるだろうかと、記者として大きな責任を感じた。「ウクライナを忘れないで」と訴える人も少なくなかった。改めて、現場から報道していくことの重要性をかみしめている。
ファイナリスト
プレミアムA「満州 アヘンでできた“理想郷”」
朝日新聞社
取材:永井靖二、丘文奈、柳川迅
WEBディレクター:森本浩一郎、橋本佳奈
デザイン・制作:小倉誼之、佐久間盛大、原有希
WEBディレクター:森本浩一郎、橋本佳奈
デザイン・制作:小倉誼之、佐久間盛大、原有希
ファイナリスト選出にあたってのコメント
近現代史を主に手がけてきた私の近年の仕事のなかで、戦前の日本が繰り広げたアヘン政策は主要な関心の一つでした。そして、アイデアの受け皿となった「プレミアムA」というシリーズは、職場の有志らによる「組織ジャーナリズムの強みをどう生かすか」という議論のなかから生まれたものです。私の拙い原稿を、躍動感あふれるコンテンツに仕上げてくださったデジタル編集やデザイン担当の方々に、深く感謝しています。
フリーランスや小規模メディアの記者等による優れた報道。
受賞
日本のレイシャル・プロファイリング
ハフポスト日本版
國﨑万智
受賞にあたってのコメント
「君みたいな系統でそういう髪型の人は、薬物を持ってることが多いから」。ナイジェリアと日本にルーツをもつ中尾英鈴さんは、警察官からこうした言葉をかけられ、何度も職務質問を受けてきた。中尾さんだけではない。肌の色や「人種」を理由に、警察から日々犯罪関与を疑われ不当な扱いを受ける人たちがいる。公権力による人権侵害を見過ごさず、私は取材を続ける。取材に証言してくださった全ての方に、心より感謝申し上げたい。
ファイナリスト
SlowNews掲載
【スクープ】無呼吸症の医療器具で「健康被害のおそれ」、いまだ回収中で被害報告も(全5回)
フリーランス記者
萩 一晶(はぎ・かずあき)
ファイナリスト選出にあたってのコメント
記事公開から3カ月後、米国の調査報道サイト「プロパブリカ」が、この問題の深掘り報道を始めました。米規制当局には、健康被害が疑われる有害事象報告が14万件も届き、6万人近くが集団訴訟を提起。今春、フィリップスは11億ドル(約1700億円)を支払うことで合意しました。一方、日本ではまだ当事者の患者にすら十分な情報が届いていない状況です。心当たりのある方は記事をご紹介いただき、ぜひ筆者(cpap2023j@gmail.com)まで情報をお寄せください。
ファイナリスト
【米ストックフォト大手による福島差別につながる画像問題について】
ハフポスト日本版・ニュースエディター
相本啓太
ファイナリスト選出にあたってのコメント
「子どもを産めない」「放射能がうつる」。原発事故後、福島の人々はあらゆる理不尽な差別・偏見を受けてきました。13年が経ってもその原因となる情報発信は続いています。一方、福島は常にイデオロギー的な議論の中に置かれてきたため、同種問題をメディアはほとんど取り上げてきませんでした。今回の選出を受け、ようやく「一筋の光が差し込んだ」と感じています。今後も福島の人々や復興のためになる報道を続けていきます。
日本と世界の関わりについて冷静かつ広い視野で分析し、洞察に富んだ論考、論説、コラム。
受賞
私たちのことを私たち自身が議論できる社会をつくるために[立候補年齢の引き下げを求めて提訴した若者たちと弁護団のストーリー]
認定NPO法人CALL4
(ストーリー制作チーム)
(ストーリー制作チーム)
取材・文:原口侑子
撮影:雨森希紀
編集:丸山央里絵
撮影:雨森希紀
編集:丸山央里絵
受賞にあたってのコメント
「立候補年齢引き下げ」というテーマは、制限を受ける若者だけの問題ではなく、この社会の意思決定の場のあり方を問うものです。誰もが当事者であり、ムーブメントを一部のユースに留まらない社会的広がりのあるものにしたいと考え、原稿はもちろん写真やデザインにも気を配って制作しました。記事末には裁判への支援を提示して個人の行動を促したことで、本格的なムーブメントの始まりの一端を担えたのではないかと考えています。
ファイナリスト
映画『スラムダンク』が中国人を感動させている本当の理由
楊駿驍
中国現代文学・文化研究者
ファイナリスト選出にあたってのコメント
中国の社会と文化は日本から見れば異質で理解しがたいと思われることが多いかもしれません。しかしながら、その複雑な内実に分け入っていくと、たとえば「青春」のような日本では当たり前だと考えられてきたものの特殊性または異質性にむしろ突き当たることになります。つまり、日本がより良く日本自身の複雑性と特殊性を理解するために、中国という視点を経由することによって今までになかったような発見が得られるのです。
動画
ギャラリー
FAQ
日本国外で発表された応募記事も対象に含まれますか?
含まれます。ただし、日本語の記事に限ります。日本語への翻訳記事は対象外となります。
複数の記事の応募は可能ですか?
可能です。
応募する部門がわかりません。
ご自身が最も適していると考えた部門への応募をお願いいたします。選考委員間での審議を経て、受賞部門が変更となる可能性もございます。
【お問い合わせ先】
本賞に関するお問い合わせは、
以下までお願いいたします。
選考委員
-
林香里(委員長)
東京大学大学院情報学環教授
東京大学理事・副学長 -
関美和
MPower Partners Fund 創業パートナー/翻訳者
-
筒井清輝
スタンフォード大学社会学部教授・ジャパンプログラム所長
-
堂前宣夫
株式会社良品計画
代表取締役社長 -
山脇岳志
スマートニュース
メディア研究所 所長 -
船橋洋一
公益財団法人国際文化会館
グローバル・カウンシル
チェアマン
メディア掲載
2024.03.05
2024.02.27
『国際文化会館ジャーナリズム大賞』の概要が読売新聞に掲載
2024.02.27
アーカイブ
2022
授賞式の様子 全編
2021
授賞式の様子 全編
協賛
(五十音順)
国際文化会館ジャーナリズム大賞は以下の方々に協賛をいただいております
- APAMAN株式会社
- 株式会社学究社
- 佐護 勝紀
- 株式会社シルバーバックス・プリンシパル
- 株式会社チェンジホールディングス
- 吉村 英毅